お茶にしよう

優しい光を

いつの間にか増えてしまったスパイスを整理していたら、ご近所さんが訪ねてきた。
旅行に行っていたとくず餅を携えて。ちょうどいい。お茶にしよう――散らかったままで申し訳ないけど、座って、座って。
日本茶でいい?カップはどれにする?私はいつもの湯呑で。
気の置けないご近所さんとのお茶の時間は、楽しすぎてあっという間。ああ、これがフィーカなんだね。
お茶を飲んでおしゃべりをする。それだけのことなのに、私はその日一日ずっと元気で、ご機嫌だった。

フィーカは心を開く鍵

フィーカは何時でも好きな時にできるものだけれど、
午前10時と午後3時の2回が最もポピュラー。
仕事の打ち合わせも、まずはフィーカで心を開いてから…
それほど彼らにとって、この習慣は大切で、愛すべき日常なのだ。
コーヒーが大好きなスウェーデンの人たち。でもそれと同じくらい、
添えられるお菓子を楽しみにしている。特別なものじゃなくていい。
手作りのケーキやクッキー、キュウリとチーズを切ってのせただけの
オープンサンド、旬のイチゴもいいね…。
美味しいものを食べながら、悲しんだり、怒ったりするのは難しい。
まずは笑顔になってから…それがフィーカなのかもしれない。

ミューシグと脳科学

“いつでもどうぞ”の家

私のミューシグって?

暗く長い冬を家の中で過ごすスウェーデンの人々は、家族や友人が心地よく過ごせるようにと、椅子やクッションを整えて、お菓子を用意し、
食器やリネン類も気に入ったものを揃えておく。
シナモンロールに合う色のお皿は?ジンジャークッキーをたっぷりのせるのにちょうどいいサイズじゃない?
そろそろクリスマスのしつらえはどうかしら…
木の窓が教えてくれる季節の移り変わりに合わせて、部屋や食器をコーディネートすることを心の底から楽しんでいる。
訪れる友人に「最高の場所で、一緒にフィーカを楽しもうよ」とでも言うように、居心地よい空間を作り出すそのセンスは、さすが北欧。天才的だ。

わたしの“フィーカ”

私のミューシグって?

いつもより素敵なカップを使ってお茶を淹れてみる。美しく咲いた庭の花を飾る。キャンドルを灯す。ただそれだけで「私」の心が豊かに満たされる…
一人ひとりがその過ごし方を楽しむフィーカの時間は、単にリフレッシュし、リラックスする「休憩」とは少し違う顔つきを持つ。その上で、更に豊かな何かに出合える場。
スウェーデンハウスでは、自分の愛する何かと向き合う場所を「フィーカ」と名付けている。ものづくりを楽しんだり、家族や友人と趣味について語り合ったり…あなたなら「フィーカ」でどんな時間を過ごすだろうか。

BACK NUMBER

  • スロイド

    スロイド

    スウェーデン語【バネ・外に走り出る】
    18歳になると、スウェーデンでは成人の仲間入り。 6月に行われる高校の卒業式は、日本の成人式と同様に、明るいお祝いムードに包まれます。 卒業式はutspring(ウートゥスプリング:外に走り出る)と呼ばれ、社会へ飛び込んでいく第一歩。 「独り立ち」への喜びと大人になる緊張感を胸に、卒業生たちはお祭り騒ぎで街を凱旋します。

  • スロイド

    スロイド

    スウェーデン語【手仕事】
    長い冬、家の中で過ごす時間が多いスウェーデンで、家庭内で行われていた「ものづくり」を指す言葉がスロイド(手仕事)です。 生活用品や衣類、インテリア、おもちゃ…オートメーションが進み、大量生産の世の中になった今でも、 スウェーデンの人たちは「自分でつくる」ことを 愛してやみません。心を込めて、時間をかけて、誰かのために… ずっと愛せるものをつくり出すことは、彼らにとってかけがえのない喜びなのです。

  • ナチュール

    ナチュール

    スウェーデン語【自然】
    森と湖の国スウェーデン。
    人々は「自然と共に」そして「自分自身も自然体で」
    という思いを持って暮らしています。
    自然はみんなのものであり、土地所有者の許可なく
    自然の恩恵を共有できる「自然享受権」という
    独特な権利も認められています。
    生活の一部、生き方の基盤となるキーワードです。

  • ソンマルストゥーガ

    ソンマルストゥーガ

    スウェーデン語【サマーハウス】
    夏を過ごす家—— スウェーデンのサマーハウスは、
    日本の「別荘」とは少し様子が異なる。
    日常の喧騒から離れ、生活の場を自分たちで
    一つ一つ作り上げながら、自然の偉大さを感じ、
    日々の生活に深く感謝する。ここで過ごす夏の時間は、
    スウェーデンの人々の「生きる力」の源となっている。

  • フェンステル

    フェンステル

    スウェーデン語【窓】
    スウェーデンの人たちにとって、
    窓は単なる「開口部」ではない。 光あふれる短い夏と、暗く長い冬がめぐる暮らしの中で、窓は「太陽の入り口」となったのだ。
    個性豊かに飾られた窓辺は、道行く人の目も楽しませ、街を、そしてスウェーデンという国を
    美しく彩っている。

  • ラゴム

    ラゴム

    スウェーデン語【ちょうどよい・ほどほど】
    ex:ほどほどが一番
    ヴァイキングたちが一杯の蜂蜜酒を回し飲みする時に、
    それぞれが自分にちょうどよい量を飲んで分け合った
    “Laget om(ラーゲット・オム)=仲間と分け合う“
    という言葉が語源とも言われる。
    多すぎず、少なすぎず、自分に合った物や量を良しとするスウェーデンの哲学を表す言葉。

  • フィーカ

    フィーカ

    スウェーデン語【お茶の時間、お茶をする】
    ex:お茶にしませんか?
    スウェーデン独自のコーヒーブレイク。コーヒーを
    意味するKaffeがひっくり返ってFikaになったと
    言われている。コーヒーと一緒に軽いパンやお菓子
    がセットになることが多く、スウェーデンの人々が
    大事にしている、心を通わせ合う時間。もちろん一人
    でのフィーカもOK。

  • ミューシグ

    ミューシグ

    スウェーデン語【心地良い場所・空間・時間】
    ex:ああ、ミューシグだね。
    のんびりと、心地よい状態を指します。一人でも、
    親しい人と一緒でも、自分の気持ちに素直になって、
    心の底からリラックス。スウェーデンの人々が大切
    にしている、暮らしのキーワードです。

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