「ママ、見てる?」
――見てるよ。
大好きなあなたたちのこと。

久しぶりに母が泊まりに来てくれた週末の朝。二人で朝食を用意しながら「娘」に戻れる幸せ。忙しい日々のつぶやき、育児のこと、聞いて欲しいことがたくさんあったはずなのに、顔を見たらなんだかどうでもよくなって、他愛のない話を繰り返している。ランチョンマットを並べていると、子どもたちが母の手を引き、行ってしまった。「おばあちゃんと遊ぶから、ママはそこで見ていて」って、私は視線だけでいいらしい。明るい陽射しが降り注ぐ大好きな場所で、大切な人たちの笑顔が揺れている。「ママ」で「娘」で、「私」で嬉しい。穏やかで、かけがえのない時間。

休みの日、パパは僕のパパで、友達だ。

休みの日、早起きして大急ぎで朝ご飯を食べる僕たちを、ママはちょっとあきれたような顔で見ている。そして「お昼ご飯よ」と呼ばれるまでの時間、僕とパパはたっぷりと僕らの部屋で過ごす。僕の部屋だけど僕らの部屋だ。10歳の誕生日にもらったプロペラ飛行機は、本当は僕一人でも色を塗れる、と思う。でも、二人で塗った方が楽しいに決まっているんだ。僕の方が上手にできることもあるけど、やっぱりパパにはかなわないこともあるから、僕たちは「いい友達」なんだと思う。「こんなことなら、この部屋もっと広くしとけばよかったな」ってパパは言う。
でもさ、くっつきあってるのもキライじゃない。自慢だよ、この部屋もパパのことも。

私たちの毎日は、
太陽の光からはじまる。

朝陽の中で深く息を吸い込もう。ゆっくりと手足を伸ばしていくと、身体の中を少しずつ何かが巡り始める。ポカポカ、ぐんぐん、ワクワク、心が目覚める音がする。ベッド脇のヨガマットは、私の毎朝の特等席だ。「いいだろ、この空間」。ベランダでコーヒーを飲みながら自慢げに彼が言う。二人で建てた家なのに、自分の手柄のように言わないでよね。でも、気持ちいい朝だから、まあいいか。この場所が、二人の一番のお気に入りであることに間違いはない。そして彼がそこにいることも、その「大切」の一部なのだから。さあ、ご機嫌な朝の出来上がり。服を着替えて、ご飯を食べたら出かけよう。きっと、今日もいい日になるだろう。

自由なキッチン、自由なくらし、
僕らのお気に入りの時間。

「チーズあったよね」ワイン片手に冷蔵庫をチェック。声をかけても彼女は振り向かない。仕事の締め切りが近いんだよね。きっと今が何時なのかも気づいてないんだろう。いいよ、こんな日はワインとチーズで晩御飯。キャンドルに火を灯すと、キッチンはとたんにくつろいだ空間へと変わる。――仲間との打ち合わせ、趣味の時間、リラックススペース…我が家のアイランドキッチンはいくつもの顔を持っている。ここは彼女と僕のくらしのアトリエだ。ルールにしばられない場所と時間の関係は、何かを生み出すヒントをくれる。ワインを一口飲んだ彼女は、何か思いついたのか、また机に向かう。そんな変化に富んだ毎日が、今の僕たちにはよく似合う。

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  • Focus 1

    もっと!バルコニー

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    みんなのフィーカ

  • Focus 3

    もっと!インテリア

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    もっと!ファミリールーム

  • Focus 6

    もっと!収納を楽しもう

  • Focus 7

    赤ちゃんがくる部屋

  • 特別編

    大切な時間。大好きな場所。

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