SPECIAL スウェーデンの手しごと

SPECIAL スウェーデンの手しごと

白夜の夏とは対称に、寒くて暗いスウェーデンの冬は長く、部屋の中で過ごす時間がたっぷりあります。気持ちまで暗くなりがちな冬の日々ですが、スウェーデンの人たちは楽しく過ごす術を心得ています。
お気に入りのインテリアで部屋を飾ったり、古くから伝わる手しごとをして時間を過ごすのもそのひとつ。
暖炉の上には何世代もの間、家族をみまもり続けてきたダーラヘスト、思い出のセーターをほどいて編み直す「Mormorsrutor(モールモッシュ・ルートル)」のブランケット、編み針の手をすこし休めてとりかわすおしゃべり、深い香りのコーヒーと手作りのお菓子でフィーカ‥… ゆっくりと流れていく時間を楽しむのも長い冬だからこそできる贅沢。
キャンドルのともしびが創りだす空間で、mysig(ミューシグ*)なひとときを過ごします。
*ミューシグとは・・・「居心地がいい」、「気持ちがいい」状態を意味するスウェーデン人にとって大切な言葉。

Dalahäst ダーラヘスト

  • ダーラヘスト
  • スウェーデンのお土産といえば真っ先に浮かぶのが、手描き模様が施された民芸品「Dalahäst(ダーラヘスト)」。この木彫りの馬は、もともとダーラナ地方で彫られていたおもちゃだったそうです。余った木材を利用し、子どもたちのためにと一本のナイフで彫られたおもちゃはお守りにもなっていたとか。
    ダーラヘストの真っ赤な色は、ダーラナ地方の鉱山で採れる赤い顔料から作られており、「Kurbits(クルビッツ)」と呼ばれるダーラナ地方の伝統的な模様が描かれています。
    最近は白や青などのカラーバリエーションが増え、現代風にアレンジされた模様も加わりましたが、今もほとんどの工程を職人さんたちが手作業で行っています。
    ひとつひとつ心を込めて作られた民芸品には、心をふわっとさせてくれる暖かさがありますね。

  • ダーラヘスト
  • ダーラヘスト

Kurbits クルビッツ

  • クルビッツ
  • ダーラナ地方の伝統的な模様「Kurbits(クルビッツ)」は架空の植物を表しており、その名前の由来は定かではありません。
    教会に通うことが義務づけられていた遠い昔、教会内の壁には字が読めない人のために旧約聖書のシーンが描かれていたといいます。中でも「ヨナ書」に記されている、暑さに苦しむヨナを救うために神がクルビッツという植物を植えて日陰をつくった、というエピソードが人気となり、ダーラナ地方では家の壁や家具にクルビッツの模様を描くようになったとも言われています。
    ある時期には、旅をしながら訪問先の壁や家具にクルビッツ模様を描く職人もいたのだそう。
    左右対称に広がる大きな葉っぱと花、かぼちゃのようなツルをつけた植物の模様は、時代とともに少しずつ変化していますが、現在も古い伝統が息づくダーラナ地方の多くの家に残っています。

  • クルビッツ
  • クルビッツ

Mormorsrutor おばあちゃんの四角

  • おばあちゃんの四角
  • かぎ針で編む四角形のモチーフは、スウェーデンで「Mormorsrutor(モールモッシュ・ルートル)/おばあちゃんの四角」と呼ばれています。
    モチーフをつないで、赤ちゃん用のブランケットやベッドカバーにすることが多いのですが、スウェーデンのキッチンでは、少し大きく編んだ1枚のモチーフを鍋つかみにするのが定番です。
    これらのモチーフは100年も前から編まれているもので、1970年代には世界中で流行し、今なお愛されています。
    国内で良質のウールが生産されることと、何回もほどいて編み直せることから、スウェーデンでは毛糸はエコな素材として昔から重宝されてきました。思い出のつまった家族のセーターをほどいたり、余った毛糸を寄せ集めて編み上げたモールモッシュ・ルートルは、時代を超えて家族に寄り添うアイテムといえますね。

  • おばあちゃんの四角
  • おばあちゃんの四角
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