スウェーデンハウス紀行 vol.8 スウェーデンのサステナブルな取り組み

大好きなお家のことがもっと知りたくなった、スウェディちゃん。
どうしてスウェーデンなの? どうやって日本に来るの?
その秘密を探しにスウェーデンハウスの故郷、スウェーデンを訪ねます。

森にいるムース先生とスウェディちゃん

良い木が育つためには、
気候や、森の管理も大切なんだよね!

「トーモクヒュースAB※」を見学して、
スウェディちゃんのお家の大事な構造部材である
木質壁パネルと窓が出来るまでを見てきたね。
今回は、スウェーデンでの持続可能な取り組みについて。
「木の家」の源にある、生き続ける
「森の仕組み」のことから、おさらいしてみよう。

※Aktiebolag(アクテエボラグ)の略称。
スウェーデンにおける会社形態を表すもので、
日本における株式会社とほぼ同義の言葉。

やぁ!
スウェディちゃん、
こんにちは!

森の妖精ムッレ登場

わぁ!
小さくてかわいい!
あなたは誰?

スウェディちゃん

僕は森の妖精、ムッレ。
スウェディちゃんは森について
いろいろ勉強しているんだね。
もっとたくさん知って欲しいから昔のことから、
スウェーデンの
森について話すね。

森の妖精ムッレ

今、スウェーデンの森は
とっても豊かだけれど、100年以上も前、
製材業の発展とともに、
大量の木を伐ってしまって、このままでは
森がなくなってしまう
みんなが不安になってしまったことがあるんだ。

森の妖精ムッレ

スウェーデンには、19世紀後半~20世紀初頭にかけての乱伐が原因で、森林破壊の危機に直面した歴史があります。国はその愚かさに気づいて、1903 年に森林保護法を制定しました。森林を再生し、未来の木材の供給を確保することを目的にした法律です。

そんな大変なことが
起きていたのね。

そしてその後、スウェーデンは森の中で行う
「ムッレ教室」という環境教育をスタートさせたんだ。
未来を担う子どもたちは、ムッレから自然の大切さを学び、
自然のサイクルや、自分も自然の一部なんだ、
ということを理解していくんだ。

森の妖精ムッレ

ムッレは森の動物や植物と会話ができ、その言葉を子どもたちに伝えます。子どもたちは遊びながら五感で自然を体験し、人間が自然の法則を変えたり、壊してはいけないことを学んでいきます。スウェーデンの高い環境意識の出発点は、小さな子どもたちの森での発見や喜びにあるのです。

自然に寄り添いながら
生きる豊かさを、子どもの頃から
体得するんだね。

ムース先生

自然には、さまざまな生きものたちが暮らし、
お互いがつながり合っている。
そして人間も、自然からいろいろな恵みを
受けながら生きているんだ。
とても大切な存在だよね。
だから木材資源はもちろん、
生態系のバランスを壊すことなく
豊かな森を育むよう、
自然保護や管理を行っているよ。

スウェデイちゃんとムッレ

森を守りながら、そこに棲む
生きものたちも守っているのね!

100年以上も前に、スウェーデンは
森とともに暮らす未来こそ、
あるべき姿だと捉え直した。
それからずっと、循環する森の仕組みを育み、
共生する持続可能な社会に向けて
取り組んできたんだ。

ムース先生

循環する森

太陽がある限り持続的に生産が可能

持続可能な資源、木材

資源の枯渇が心配される化石燃料などとは異なり、バイオマス資源※である木材は、太陽がある限り持続的に生産が可能で、且つ地球環境保全を考えた資源です。木は、太陽の光と水、空気中の二酸化炭素(CO2)によって光合成を行い生長するため、木材資源は未来へと続いていきます。若い苗木はCO2をたくさん吸収して大きくなり、酸素(O2)をつくり出しながら、地球温暖化の原因の一つとなるCO2排出の抑制に貢献します。
※生物から生まれた資源のこと。

緑の循環
緑の循環 緑の循環 緑の循環 緑の循環 緑の循環

緑の循環

木を植え、育て、伐採して、資源として活用し、また植える。今、スウェーデンでは森がずっと続いていく仕組みを整え、維持し続けています。伐る量より、生長する量を多くする「計画植林」を行うことで、森はこの100年で2倍以上に増え、質の良い木材を安定して供給できています。

伐採した木は100%活用 伐採した木は100%活用 伐採した木は100%活用 伐採した木は100%活用 伐採した木は100%活用

森からの資源を、100%活用する

スウェーデンでは、国の管理のもとで樹齢80 年ほどの木が合法的に伐採され、さまざまなかたちで無駄なく使われます。製造過程で出る残材や木くずなども、エネルギー源として活用されます。

木材はさまざまな用途に使えて、再生可能な唯一の建築資材。軽量でありながら、強度や柔軟性があり、耐荷重能力、断熱、防音、防湿、耐火性などを備えているため、長寿命な木造建築物をつくることができます。さらに木材は、生長過程で吸収したCO2を排出せずに固定し続けるため、家や家具を長く大切に使い続けるほど、地球環境に貢献することになリます。

森を育て、増やすことは、
地球環境を守ることにつながり、
同時にスウェーデンの経済を支える木材資源を
生み出すことにもなるんだね。

ムース先生

その森で育った木が、トーモクヒュースで
スウェーデンハウスの部材に変わっていくんだ。
つまり、スウェーデンハウスを建てて
長く暮らすことは、
自然の循環の中にあると言えるんだよ。

私のお家はスウェーデンの森と
つながっているのね!
その流れをとめないように、
大切に住んでいかなくちゃ!

スウェディちゃん

トーモクヒュースの
サステナブルな取り組み

スウェーデンハウスの現地工場での
環境配慮についても、聞いてみよう。

ムース先生

スウェディちゃん、
ムース先生、ようこそ!

トーモクヒュースで続けている
資源の再利用や、利用している
エネルギーについてお話します。

スウェーデンは、2040年までに国全体の電力を
100%「再生可能エネルギー※」で賄うことを目標としています。
この電力は、枯渇することがなく、
地球温暖化の原因の一つとなるCO₂の排出量が
ほぼゼロとできるものです。
※太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスなどを利用した電力。

担当者
トーモクヒュース担当者
トーモクヒュースでは、
100%再生可能エネルギーを使用しています。

スウェーデンでは電力会社を自由に選ぶことができ、
現在は再生可能エネルギー100%の会社と契約をしています。

再生可能エネルギー100%
内訳グラフ

工場内の機械や、
フォークリフトなども
再生可能エネルギーで
稼働しているんだ。 ムース先生

暖房は
バイオマスの地域暖房システム
を利用しています。

※温水をつくり貯めたものを周辺地域や住宅にパイプを使って送るシステムのこと。熱源には食品廃棄物から生成されるバイオガスや、工場生産からの余剰熱などの地域資源が再利用されている。

再生可能エネルギー
100%!

すご~い!

スウェディちゃん
不用品はゴミではなくて、大切な資源。
製造工程で出るさまざまな素材を、有効活用しています。
  • 取り組み1

    端材や木くずは、地域暖房の燃料として再利用する工場へ、オガクズは、地域の固形燃料(ペレット)製造会社へ、販売しています。この工場からは年間約2000 立方メートルもの木くずと約300 トンのオガクズが再利用されているんですよ。

  • 取り組み2

    直接リユースが難しい鉄くずやアルミくず、プラスチックくずなどは、リサイクル材料として販売したり、無償提供をしています。

  • 取り組み3

    有機物質の処理も環境に配慮しています。例えば、木材の防腐処理に用いた薬液は、工場付帯の特殊な専用窯で処理し、そこからは無臭無害の排気しか発生しません。

スウェーデンが積極的に
環境政策を実行できる
理由の一つは、国民の意識の高さ。
“自然への親しみと愛” の気持ちが
強いことも挙げられています。ムース先生

スウェーデンでは、1960年~1970年代初頭から、環境問題解決に向けた取り組みがはじまっています。そして2009年、国民に向けて次世代にサステナブルなスウェーデンを目指すための16の環境目標を掲げたバイブルが発表され、2012年から始動しています。そこにはスウェーデンの環境活動の指針があり、到達するために何をする必要があるか、が明示されています。国の政策も、企業活動も、国民一人ひとりの行動まで、この環境目標は社会全体を導いているのです。

サステナブルな働き方

働く人の健康管理も大切にしています。

効率的に、品質の高い製品を
つくるための働き方の工夫は
ありますか?

ムース先生

スタッフ全員が
(特殊な作業を除いて)
すべての工程を担当できる、
ローテーションの仕組みを
取り入れています。

担当者
  • 取り組み1

    1日中同じ動作や単調な作業、体勢が続くことを避けることは、職業病を防ぎ、モチベーションの維持にもつながります。

  • 取り組み2

    権利として認められている急な休暇などによる欠員にも、柔軟に対応する工夫でもあります。

スウェーデンでは、
子ども(8ヵ月以上12歳未満)が病気になったとき、
親が看護休暇をとることができる。
この休暇はVab(ヴァブ)と呼ばれているよ。 ムース先生

働く人のことも
すごく考えている!

スウェディちゃん

持続可能な
働き方だよね。

ムース先生のまとめ

スウェーデンでは、持続可能な森林管理が実施されています。そして、その森からの木材資源を無駄にすることなく、最大限に有効活用する仕組みも整っています。スウェーデンハウスの「木の家」づくりは、森からはじまるサイクルをつないでいくことでもあります。