
この5月、ストックホルムとダーラナ地方を旅した。
テルベリ村は初夏の澄み切った光に包まれて、
森も湖も古民家も輝いていた。
特に湖に陽が沈む時間が素晴らしい。
黒々としてくる森、涼やかな風、赤い古民家たち。
点在する家に見とれながら砂利道を歩いて行った。
屋根付きの玄関では、夏にはここでお喋りしたり、
冬には服の雪を払ったりするのだろう。
扉の形、扉回りの装飾や柱、伝統の色使いがハッとするほど美しい。
ダーラナを訪れるのは5回目だが、こんな夢のような雰囲気は初めての気がする。
首都に帰り、セーデルマルム島の古民家を探して歩く。
18世紀頃の木造民家の扉は、なんて優しい雰囲気なんだろう。
まるで[どうぞお入り下さい]と声が聞こえそう。
こんな暮らし、やはり一度はしてみたい。
Profile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。北欧絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『森はみんなの保育園』、『スウェーデンの変身する家具』、他の地域の絵本に『一枚の布をぐるぐるぐる』など(全て福音館書店発行)。2021年4月に『児童文学の中の家』(エクスナレッジ)を刊行。
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