“ガレージしよう”。 それはちょっとしたマジックワード。 毎日の暮らしにいつもと違うシーンを加えたい。 家族や仲間と素顔の時間をシェアしたい。 大切なモノたちとじっくり向き合いたい。 スマホを置いて、ひとりで思索にふけりたい…。 そんなとき“ガレージしよう”と唱えてみてください。 それはまるで子どもの頃の秘密基地のように、 夢のなかで見つけたオアシスさながら、 あなたの日常を特別な物語へお連れします。
ハプニングでも予定通りでも、いいことがあったときは、その気分をもっと楽しみたい。 ガレージパーティのきっかけなんてそんなものだ。気心知れた仲間を呼んで、 子どもも一緒にBBQ。集まってくる友だちに、料理と本日のハッピーをサーブする。 そうすると夜空の星までウインクしているみたい。だから、うちのガレージはいつもパーティ仕様。 次のいいことが、いつ来てもいいように。
娘が働きはじめた頃かな、このガレージを憧れだった工房にしたのは。庭の草木を見守ろうと献身的な庭師になり、 ここで草木の恵みをジャムやリースの形に変えて世界にふるまう。ただし、いまのところ「世界」とは娘や友だちなのだけど…。 そして私は毎日のいとなみをここで文章にする。ジャムより美味しいかわからないけれど、 きっとこの手記が私の世界をもっと広げてくれると。
うちの息子たちはガレージをアジトと呼ぶ。「アジトにいるときは“勉強して”とか“いま忙しい”とかスマホだって禁止!」だそうで、 まったく海賊気取りだ。もともと夫婦の趣味を追求したガレージなのに、お愉しみが過ぎたようで乗っとられてしまった。 だけどね、手作りのケーキを食べて寝息をたてる海賊たちを見ていると、次の冒険は何をしようって、二人で考えはじめるんだ、 ものすごく穏やかに。
夜、友人を乗せて車をガレージに入れ、室内の灯りを点ける。ガレージの全貌が明らかになった瞬間、 感嘆符でいっぱいの友人の表情が好きだ。ガレージは収納である。ただし大好きなモノばかり美しく整えれば、 ただの収納ではもはやなく、私のアイデンティティーになる。それはちょっと誇らしい自分を物語り、人との距離感を縮めてくれる。 「よかったら家に入る前に、ガレージをもう少し見ていかない?」
27.95㎡ / 8.45坪
46.58㎡ / 14.09坪