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Column from Sweden

北欧の暮らし

第63回
スウェーデンの民族衣装①

6月に祝われる夏至祭は、クリスマスと同様にスウェーデン人にとって重要なイベントです。この日には民族衣装を着てメイポールのまわりを踊るのが定番ですが、ストックホルムなどの都会では民族衣装を着る人が少なくなってきているようです。一方、地方ではその土地に伝わる伝統的な民族衣装を大切に思い、夏至祭には多くの人が身につけています。スウェーデンには800を超える民族衣装があるそうですが、もともとは農村の人々が教会の祝祭にあわせて身につけていた衣服で、その後は行事などお祝いの際の衣装となり、地域性のあるデザインが伝えられるようになりました。現在でも夏至祭やナショナルデー、結婚式などの特別な行事で身につけます。女性用の民族衣装は、ブラウスと長めのスカート、ベストやショートジャケット、エプロン、スカーフ、帽子があります。ブレスレットやリボン、ブローチやポシェットなどの小物にも凝ったデザインが多く、細かい手縫いの刺繍が施されているものもあります。ていねいに作られた衣装や小物は、祖母から母へ、さらに娘へと受け継がれます。

写真:ストックホルム郊外ソルンダ地区の夏至祭

・・・・スウェーデンの民族衣装②・・・・

都会で目にする機会の少ない民族衣装ですが、伝統文化を大切にしている地方では、夏至祭で多くの人が身につけています。例えば伝統工芸の盛んなダーラナ地方では、地域の中でも異なるデザインの民族衣装が伝えられています。レクサンド、ダーラヤーナ、ダーラフローダなど、地域ごとにエプロンの柄やベストに施されるデザインが異なります。大規模な夏至祭が行われ、特徴的なメイポールが立てられることでも有名なダーラナ地方のレクサンドでは、民族衣装は、白いブラウスに紺などの暗めのスカートと、赤を基調にしたベストとストライプのエプロン、花柄などのスカーフを巻き、白い帽子と白い靴下を身につけます。同じくダーラナ地方のダーラヤーナは、バラなどの細かい花柄のエプロンとお揃いのスカーフ、赤い靴下が特徴です。ダーラフローダは、凝った花柄の刺繍が施された襟の大きく開いたショートジャケットが特徴で、帽子やスカートの裾にも美しい花柄の刺繍が施されています。昔の人は刺繍も衣装も自分で縫っていたそうですが、最近はそこまで作られる人は少なくなっているようです。

写真:ダーラナ地方レクサンドの民族衣装。ストライプのエプロンと白い靴下が特徴

・・・・スウェーデン人にとってのミューシグ①・・・・

「ミューシグ/mysig」とは、居心地のよい空間で気持ちが落ち着き、心からリラックスできることを表わすスウェーデン語の形容詞です。英語では「cozy(コージー)」と訳されます。 日本語には同じ意味を持つ単語はありませんが、あえて言うならば、「ほっこり」 でしょうか。いったいどんな時にスウェーデンの人たちはミューシグと感じるのでしょうか。西スウェーデンのヨーテボリにお住まいのデザイナー、アンナ・ヘーリングさんに伺ってみました。アンナさんにとってのミューシグは、週末に夫のヤンさんと一緒にサマーハウスを見に行くひとときです。ヨーテボリ市内に暮らしているので、自然の中にあるサマーハウスをいつか手に入れたいと思っていて、時間があると見にいくそうです。サマーハウスにある昔ながらの石造りのキッチンと鉄のオーブン、りんごの花の咲くお庭。西海岸の島にあるカフェテリアには古い家具が置かれ、昔ながらの刺繍や古い絵が飾られ、そのひとつひとつがミューシグなのだそう。今のアンナさんにとって、最もミューシグなシーンは、昔ながらの温かみのあるものに囲まれたサマーハウスでの暮らしに思いを馳せるひとときのようです。

写真:古い家具が置かれた温かみのあるカフェテリア

山本由香(デザインコンサルタント)

ライター:山本由香(デザインコンサルタント)

1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。

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