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Column from Sweden

北欧の暮らし

第61回
ベスト・スウェーデンデザイン賞

冬の長いスウェーデンでは、1月から3月にさまざまなデザインイベントが開催されます。2月にはストックホルム・ファニチャーフェアが開催され、スウェーデンのインテリア誌エルデコが選ぶベスト・スウェーデンデザイン賞が発表されました。この賞を通して、最近の注目デザインをご紹介しましょう。
ベスト・スウェーデンデザイン賞は、前年に発表された家具・テーブルウェア・照明・椅子・
カーペット・テキスタイルなどに与えられます。
2019年のベスト家具に選ばれたのは、クマをモチーフにしたフットスツールです。人にとって安らぎの感じられるものは何か、という研究を重ねた女性デザインデュオFrontは、それが動物の形やぬくもりであると気づき、クマが冬眠しているような形のフットスツールを考え出しました。
ベストテキスタイルに輝いたのは、水彩とチョークとマーカーペンの手描きで表現されたストライプ柄のテキスタイル「Anacapri」です。著名なファッションデザイナーLars NilssonとインテリアショップSvenskt Tennとの共同開発によって、美しい色合いのテキスタイルが生まれました。
ベストテーブルウェアに選ばれたのは、ガラスの王国として知られる、スウェーデン南部のスモーランド地方で作られた、コスタボダのエレガントで贅沢なパーティグラス、「クリスタルマジック」です。手作りのような美しさを保ちながら、食洗機で洗えるという時代にマッチしたデザインで、このような新しいアイデアを持つデザインが、最近の北欧デザインとしての評価が高いようです。

写真:クマのスツールをインテリアとして飾った画像

・・・・ソーイング&クラフトフェスティバル・・・・

首都ストックホルム、西のヨーテボリ、南のマルメ、北のウメオの4都市で開催されるソーイング&クラフトフェスティバルは、北欧最大級のクラフト展です。専門店が数多く出展し、通常は見つけづらいクラフト材料も豊富に揃います。一般公開されるため、各地でクラフト好きが集まり、同じ趣味仲間の出会いの場となります。
もっとも人気が高いのは、誰でも参加できるクラフト体験コースです。刺繍、編み物、ボビンレース、レザークラフト、機織りなど、その道の熟練者に直接指導を受けられるとあり、真剣な眼差しで手作りに励む人々で賑わいます。
クラフト展が初めて開催されたのは2003年で、2006年ごろまではキルトの人気が高く、その後は素材選びにこだわった編み物が注目されました。2009年ごろには、小物を編む日本の編みぐるみが注目され、かぎ針編みの関心が高まりました。編みぐるみを写真に撮り、ストーリーをつけてブログで発信する人が増え、大きなブームとなりました。
かぎ針編みでもオーガニック毛糸を使うなど、素材選びが重要視され、会場には質の高い毛糸が数多く売られています。クラフト好きの人々は、フェイスブックやインスタグラムを通じて大きな家族のようにつながり、共通の趣味仲間としてよい関係を築いています。

写真:クラフト体験コースの様子


ソーイング&クラフトフェスティバル、ウェブサイト
https://www.syfestivalen.se/

・・・・スウェーデンのホームインテリアを彩るヨブスのテキスタイル・・・・

ストックホルムで最も美しい美術館といわれる「ティールスカギャラリー」にて、スウェーデンを代表するテキスタイルブランド、ヨブスの展覧会が2019年6月2日まで開催されています。※
ヨブスは自然をモチーフにした美しい花柄が人気です。この展覧会では、創業者であるヨブス姉妹の陶芸家時代からテキスタイル時代への移り変わりや、ヴィンテージのテキスタイルが数多く紹介されています。
ほとんどの展示品は個人所蔵品のため、これだけのヨブス作品を一度に見られるのは滅多にないチャンスです。姉のリスベット・ヨブスはストックホルムでアートを学んだあと、1931年に窯のある陶磁器の工房をオープンしました。当時、自身の窯を持つ女性はリスベットが初めてというパイオニアでした。やがて妹のゴッケンがアシスタントとして姉を助け、その後2人は公共施設の装飾も任されるようになりました。国際的な展示会にも出展し、1939年に行われたサンフランシスコとニューヨークの展示会では大成功を収めました。
第二次大戦の時代には物資不足となり、釉薬を手にいれるのが困難になったため、それまで陶磁器に描いていた花のモチーフを、テキスタイルデザインとして描くようになりました。テキスタイル制作のアドバイスをしてくれたのは、その時代にストックホルムの老舗デパートNKのテキスタイルを担当していたアストリッド・サンペです。
1944年にヨブス姉妹はダーラナの地にヨブス・ハンドプリント工房「Jobs Handtryck」を設立し、現在ではスウェーデンを代表するテキスタイルブランドとして多くの人々を魅了しています。

写真:インテリア展示品


ティールスカギャラリー、ウェブサイト
https://www.thielskagalleriet.se/en/

※ヨブス姉妹展:2019年2月23日〜6月2日
【 正式名称: The Jobs Sisters – ceramics and textiles. A passion for prints and floral art 】

山本由香(デザインコンサルタント)

ライター:山本由香(デザインコンサルタント)

1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。

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