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Column from Sweden

北欧の暮らし

第45回
クリスマスの準備が始まりました!

日本の街では11月に入るとすぐにクリスマスソングが流れ、あちこちでクリスマスのイルミネーションを見かけますが、スウェーデンでは少し遅れて11月下旬に街の通りや広場のイルミネーションが点灯されます。
ストックホルムとヨーテボリにあるNKデパートでは、毎年第一アドベントの前の日曜日に公開されるクリスマスのウィンドゥディスプレイ「Skyltsondag/フィルトソンダーグ」(ウィンドゥディスプレイの日曜日という意味)は、クリスマス前の話題のひとつでもあり、子どもだけでなく大人の楽しみにもなっています。
2017年は、スウェーデンを代表する映画監督イングリッド・ベルイマンの生誕100年を2018年に控えて、代表作「ファニーとアレクサンデル」をテーマにしたクリスマスシーンが飾られています。
12月に入ると、子どもたちには待ちに待ったアドベントカレンダーが用意されますが、実は大人用のクリスマスカレンダーというものがあります。楽しみいっぱいの子どものものとは違い、クリスマス料理のメニュー決めからはじまり、部屋の飾りつけやクリスマス用のお菓子を作ったり料理の仕込みをしたりと、クリスマスまでのto doリストがびっしりと詰まっています。便利ではありますが、少々ストレスを感じるカレンダーでもあります。

写真:NKデパートのクリスマスディスプレイ(2017年)イングリッド・ベルイマンの「ファニーとアレクサンデル」をテーマにしたクリスマスシーン

・・・・Julbord ユールボード(クリスマスのスモルゴスボード)スウェーデンのクリスマス料理・・・・

年末はスウェーデンでも慌ただしい日々を送ります。クリスマスには親戚が集まりお祝いをするのが一般的で、クリスマスプレゼントも全員がお互いに贈り合う習慣があるため、休暇前の仕事に追われながら、クリスマスプレゼントの買い物に走りまわります。
そんな中、職場ではちょうど日本の忘年会のように、「julbord/ユールボード」というクリスマス料理に招待されます。ユールボードとはクリスマス料理のスモルゴスボードで、クリスマスイブに家庭で頂くディナーもユールボードと言います。お馴染みの「ミートボール」や「ヤンソンさんの誘惑」は1970年代から加えられた比較的新しいものだそうで、「酢漬けニシン」を始め、ハムやソーセージ等の保存食をメインにずらっとクリスマス料理が並びます。
クリスマスのハムはバイキング時代にルーツを持ちます。当時は豚1匹を全て調理していたようですが、塩漬けにした一番美味しいモモの部分を最後まで残しておいて、「midvinterblot(真冬の犠牲)」の日に北欧神話の神に捧げたそうです。その後キリスト教の行事と混ざり、現在はクリスマスディナーのメイン料理として残っています。
林檎を口にくわえた豚の頭部が、クリスマスのハムのデコレーションになっているのは、少々グロテスクですが、歴史を振り返れば納得ですね。

写真:Horgberga Gardのjulbord


*「スモルゴスボード」とは・・・スウェーデンのおもてなし料理の形式。日本ではバイキング料理と呼ばれ、各種の料理を食卓に飾って、自由にとる形式の料理。
*「midvinterblot(真冬の犠牲)」とは・・・スウェーデン王ドーマルディが飢饉の回避のための犠牲とされた北欧神話。


「ミートボール」についてはこちら
/mjuk/column/recipe_1406.html
「ヤンソンさんの誘惑」についてはこちら
/mjuk/column/recipe_14012.html
「酢漬けニシン」についてはこちら
/mjuk/column/recipe_1404.html

・・・・Jultomte/ユールトムテとクリスマスプレゼント・・・・

北欧は「サンタの国」「クリスマスの本場」とも言われますが、現在世界中で知られるサンタクロースのイメージはアメリカで作られたと言われています。スウェーデンではサンタクロースを「Jultomte/ユールトムテ」と呼び、赤い帽子をかぶった小さな「Tomte/トムテ」とは区別しています。トムテは庭に住み土地を守る妖精だという言い伝えがあり、クリスマスイブの朝に庭にミルク粥を出しておくのは、トムテたちに一年の感謝をこめて粥を振るまうためだとか。
今ではスウェーデンでも、お馴染みのサンタクロースがプレゼントを届けてくれますが、昔は「Julbock/ユールボック」というヤギがプレゼントを届けてくれました。クリスマスの飾りに藁で作ったヤギの置物やオーナメントがあるのはその名残です。
クリスマスプレゼントの起源は聖ニコラスが貧しい姉妹にプレゼントを窓から投げ入れた事から始まったとか、他にも国により色々な説があるようですが、いずれにしても皆がプレゼントと美味しい料理に囲まれて過ごす、1年で一番幸せな日がクリスマスに違いありませんね!
それでは楽しいクリスマスをお過ごし下さい。
God Jul

写真:庭に住む妖精トムテとミルク粥

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

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