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Column from Sweden

北欧の暮らし

第29回
8月のスウェーデン

スウェーデンの夏は気温が20~30℃で湿気もなく、1年中で最も気持ちのいい時期です。木々の葉っぱが生い茂り、キラキラと光る湖や海の水と、澄みきった空の青さが最高に美しい季節が3ヶ月ほど続きます。人々はその美しい自然の中で1年分のエネルギーをしっかりと充電し、8月半ばになると次々と仕事場に戻っていきます。夏の間休業していたレストランやショップもこの頃には再開し、街には活気が戻り、ゆっくりとスウェーデンの社会が動き始めます。
深夜まで明るかった白夜の夜も、少しずつ日没時間が早くなり、暗い夜が始まります。
それでも、お天気の良い日には、仕事帰りに水辺のベンチや公園の芝生の上で、明るい夜を惜しみながらのんびりと日が沈むまでピクニックしている人たちをよく見かけます。その姿はまるでバカンスの続きを楽しんでいるかのようです。

写真:仕事の後にグリルピクニック

・・・・学校の始まり・・・・

日本では4月に新学期が始まりますが、スウェーデンでは夏休みが終わった後の8月に新しい学年が始まります。学期は、8月20日前後からクリスマス休暇までの「秋学期」と、1月7日くらいから6月初旬の夏休み前までの「春学期」で成る2学期制になっています。
そのため8月は新学年の準備を始める時期でもあり、デパートではカバンや靴、文房具類が店頭に並びます。とはいっても文房具天国の日本に比べると、その種類の少なさに驚きます。それもそのはず、昔は学校からノートや鉛筆などが配られて、ほとんどの子どもはそれを利用していたのですから…。文房具にはあまり執着しない習慣が今でも残っているのかもしれません。
通学カバンは日本のようなランドセルではなく、ほとんどがリュックサックです。
スウェーデンでは8月にまっさらなリュックサックとおろしたてのスニーカーを履いたピカピカの新入生が、ちょっと緊張した顔で登校する姿が見られます。

写真:デパートの文具売り場

・・・・ザリガニパーティー・・・・

8月の大きなイベントといえば、なんといっても「ザリガニパーティー」。ザリガニはもともと高級な食材で、昔はほとんど庶民の口には入らず、貴族や王室のお祝いの席のお料理に使われていたそうです。1800年代後半からは一般的に食べられるようになり、夏に別れを告げ、秋を迎えるお祭りとして庶民にも広まりました。
長い間ザリガニ漁は、決められた時期以外は禁止されており、1994年に廃止されるまで、8月の第一水曜日がザリガニの解禁日と決められていました。そして、待ちに待った解禁日にザリガニを食べるパーティーを開いたのだそうです。その風習が現在も残り、8月になると皆こぞってザリガニパーティーを開きます。アクアビットと呼ばれるアルコール度数の高い蒸留酒を飲みながらザリガニにかぶりつき、過ぎ行く夏を惜しみます。
薄暗い夜空にザリガニパーティのシンボルの「月の男」の顔が描かれた提灯の灯が浮かび上がると、紛れもない夏の終わりを実感します。

写真:ザリガニ料理

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

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