mjuk

Column from Sweden

北欧の暮らし

第24回
春の訪れ

・・・・春を待つ花たち・・・・

日照時間が少しずつ長くなり、春らしい日差しになってくる3月。
雪で覆われた地面の中で長い冬の終わりを待っていた球根が、可愛い緑色の芽を出し始めます。
年によってはまだ深い雪に埋もれていることもありますが、雪解け水の音が聞こえてくるとあっという間に地面は色とりどりの草花で覆われます。
雪が少し残る地面に白いスノードロップの花を見つけたら、人々は春の訪れに心を踊らせ、Tussilago(トゥッシラーゴ:フキタンポポ)が黄色い小さな花を咲かせると、春を実感します。
同じ時期、vintergack(ヴィンテルイェック:キバナセツブンソウ)の可憐な黄色い花や、クロッカスの紫色の花は、モノトーンの世界にはっとするような鮮やかな色彩をもたらし、人々に笑顔を運んでくれます。
こうして北国の人たちは、地面から芽を出して春の訪れを知らせる小さな花たちに、たくさんのエネルギーをもらいます。
「春」はやっぱりスウェーデン人にとって特別な季節です。

・・・・Paskgodis(ポスクグーディス)イースターのお菓子・・・・

スウェーデンのスーパーマーケットでは、お菓子売り場にGodis(「グーディス」)と大きく書かれた量り売りのお菓子のボックスが数十種類並んでいます。そこから自分で好きものを好きなだけすくって袋につめ重さを計り、金額を計算してレジで支払います。カラフルでおもしろい形のお菓子には、つい誘惑に負けて手が出てしまうほど...。そのせいか、お菓子の消費量はひとり当たり年間17kg、なんと世界1位なのだそうです!
特にイースター休暇には卵形をしたお菓子類も増え、1年のうちで一番たくさんお菓子を食べる時期だと言われていています。また、イースターには模様のついた卵型のボックスPaskagg(ポスクエッグ:イースターエッグ)が売られ、その中にお菓子を詰めて訪問先へのプレゼントにすることもあります。イースター前夜には、子どもたちは家の中や庭に隠されたお菓子の入ったイースターエッグを探す「エッグハンティング」に夢中になります。その側で大人たちがお皿に盛ったお菓子をほおばりながら話に花を咲かせているのを見ると、お菓子消費国No.1というのも頷けますね。

*Pask(ポスク)はスウェーデン語で復活祭(イースター)、Godis(「グーディス」)はお菓子を意味する言葉

・・・・春を告げるお菓子Vafflor(ヴォッフロル:ワッフル)・・・・

3月25日は聖マリアがキリストを身ごもったことを告げられた「受胎告知の日」として教会の記念日となっています。聖マリアはスウェーデン語でVarfru(ヴァルフル)といい、Varfrudagen(ヴォールフルダーゲン:聖マリアの日)がいつのまにかVaffeldagen(ヴォッフェルダーゲン:ワッフルの日)と言葉が変化し、この日にワッフルを食べるようになったそうです。
農家でもこの日を境に春の畑仕事を始めることにしたため、ワッフルは春の到来を祝うのに相応しい食べものになりました。
スウェーデン風ワッフルは5つのハートがくっついた形をした焼き型で、薄くカリカリに焼きます。焼き上がった熱々のワッフルにホイップクリームとジャムをつけてデザートやお菓子として食べるのが基本の食べ方ですが、甘エビにサワークリームとキャビアを添えたワッフルは、前菜として白ワインにピッタリな1品にもなります。

ワッフルのレシピについてはこちらもご覧ください。
/mjuk/column/recipe_1503.html

・・・・Glad Pask(グラード・ポスク)!・・・・

自然の木々はまだ芽吹く前の裸のままの姿ですが、花屋の店先ではカラフルに色づけされた羽根を付けた白樺の枝が売り出され、pasklija(ポスクリリア:イースターリリー)とよばれる黄色い水仙や、春を象徴するチューリップの花がところ狭しと並べられます。どこのお店のショーウインドウも鮮やかにペイントされたイースターエッグや羽根でデコレーションされ、街中が春色に染まります。イースターカラーと言えば黄色。家庭でもカーテンを黄色いものに取り替え、水仙の花や黄色いキャンドルでテーブルを飾ります。窓辺には子どもたちがペイントしたイースターエッグのほかに、幼稚園や学校で作った魔女の飾りや、ひよこの置物などを飾ります。そしてイースター前の木曜日には、子どもたちは長いスカートをはいて頭にスカーフを巻き、ほっぺを赤く染めた魔女paskkaring(ポスクシャーリング)に扮装してお菓子をもらいに歩きます。
イースターを迎える頃、街は一気に息を吹き返したように蘇ります。

Glad Pask!
(「グラード・ポスク!」はスウェーデン語でハッピー・イースターという意味です)

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

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