mjuk

Column from Sweden

北欧の暮らし

第64回
船で訪れる観光名所

7月のスウェーデンは夏休みの真っ只中。長いお休みを取り、国外に旅行する人が多いなか、ストックホルムやゴットランドには外国からの観光客が押し寄せます。街にはツーリストのバスが行き交い、代わりに電車やバスのタイムテーブルが夏用に変わって本数がぐっと少なくなります。それとは逆に、バルト海に散らばる島々を結ぶ船の便は大幅に増え、電車やバスを乗り継いで行った方が早い場所でも、お天気のいい夏はゆっくりと船の旅を楽しむ人が増えます。これは水に囲まれたストックホルムならではの夏の醍醐味。
中でも私のお気に入りは市庁舎のすぐそばから乗り込む、世界遺産「ドロットニングホルム宮殿」までの船旅。暑い日には航路の両岸で歓声を上げながら泳ぐ子どもたちを見ながら、高速で追い越していくプライベートのボートに手を振ったり…
また、街の反対側の船着場からは、バルト海に繰り出す船が数多く出航しています。アーキペラーゴと呼ばれる2万4千もの小さな島がちりばめられた内海を、船にゆられて1時間半も行くと美術館Artipelag(アーティぺラーグ)に到着します。自然の地形を生かした敷地内に建つ美術館は、特別な展示以外は入場も無料。建物を囲む広い敷地内で、夏の大自然を満喫できること間違いなしのお薦めスポットです。

写真:街の中心の船着場に停泊する船

Artipelag
https://artipelag.se/en/

・・・・Loppis (ロッピス)蚤の市・・・・

スウェーデンでは夏になると各地でLoppis(ロッピス)と呼ばれる蚤の市が盛んに行われます。
ビンテージの専門誌「Retro」の夏号には、毎年この時期になると全国で開催されるロッピスの情報が掲載されます。発刊されて以降、ロッピスの人気は上昇し続け、ビンテージ商品の価格は高騰してしまいましたが、身近なイベントとして楽しめるようにもなりました。
メガロッピスと呼ばれる大きなロッピスには、主にプロの人たちの出店が多いのですが、地域で開かれている小規模なロッピスでは、使わなくなった家具や洋服、小物やおもちゃなどを処分できればいいなというスタンスで、一般の人たちによる出店が少なくありません。お客さんに品物にまつわる思い出話を語りながら昔を懐かしんでいる老人、親と一緒に小さくなった洋服や使わなくなったおもちゃを楽しそうに売る子どもたち、合理的なイベントであると同時に、娯楽でもあるような休日の昼下がり。のんびりと過ごす人たちの時間の使い方を見ていると、幸せの国の一面はこんなところにも表れているのだなあと思います。

写真:週末の郊外のロッピスには多くの人が集まる

・・・・街の交通手段の変化・・・・

ここ数年はストックホルムを訪れる度、街の変化に驚かされます。中でも一番驚いたのは交通手段の変化です。
特に街中をビュンビュン走っている電動キックボードには、その多さと危険度、そしてマナーの悪さに驚いてしまいました。自転車にはヘルメットの使用が義務付けられているのに、キックボードにはないようです。スマートフォンのアプリを利用すれば、町中の至る所に配置されているキックボードを、どこから乗ってもどこで乗り捨ててもいいということで、道端には倒れたままのキックボードもよく見かけました。確かに便利ではありますが、少し規制も必要ではないかと思わずにいられません。
キックボードと同じようにアプリに登録して電気自動車(エコカー)をレンタルするサービスも始まっています。アプリで一番近い場所を確認してピックアップし、返却も都合の良い駐車場に返却できるというシステムは、タクシーを使うより安価で、まさに物は持たずシェアする時代を象徴するサービス。
また、ここ数年で自転車通勤する人も急激に増えて、通勤時間帯には自転車レーンが渋滞するほどです。
人口の増加に伴い車の台数も増えたストックホルムでは、十数年前から駐車場不足や環境汚染など様々な問題が浮上していますが、エコカーや自転車はこの問題の解決にも一役買っているようです。

写真:街中を電動キックボードで走る人たち

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

< 前の記事