mjuk

Column from Sweden

北欧の暮らし

第43回
紅葉する樹木

ストックホルムは北欧で一番大きな都市ですが、居住者のほとんどが、300m以内に、公園などの緑に触れられる環境にあるそうです。森には松や杉などの針葉樹が多く、街の中の大きな公園や大通りの街路樹には、「西洋トチノキ」や「lönn/ロン(楓)」などの広葉樹が植えられていて、秋には紅葉も見られます。
フランス語の「マロニエ」で知られる「西洋トチノキ」は、スウェーデン語では「hästkastanj/ヘストカスターニ(馬の栗)」と呼ばれ、その名は馬の治療に使用されていたことに由来するそうです。秋になると、とげとげのイガからはじけた実があちらこちらに散らばり、栗に似ている実はとても美味しそうに見えるのですが、毒性があり残念ながら食用には向かないようです。ところが鹿にはこの毒素を分解することが出来るらしく、冬場の餌として重宝されています。
lönn(ロン)は、メープルシロップが採れる楓とは少し種類が違うようです。夏が過ぎるころ舞い落ちてくる羽根のような形の種子は、茎をクルクルと回して飛ばす子どもたちの遊び道具となります。
秋には赤や黄色の落ち葉がカーペットを敷いたように地面を覆い、雪が降るまでの間の短い秋の楽しみとなります。

写真:紅葉する広場

・・・・ホワイトムース(白いヘラジカ)・・・・

スウェーデンでは秋になるとヘラジカ(英語ではムース)のハンティングが解禁されます。昔から狩猟は上流貴族の娯楽として発展してきましたが、現在もライセンスを取得した多くの愛好家が登録されています。ハンティングは娯楽としてだけでなく、多すぎる野生動物から森林を守り持続させていくためでもあるそうです。トナカイはサーミ人によって管理されているためハンティングはしませんが、野生の鹿とヘラジカは主にその対象となります。スウェーデン土産のキャラクターとしても人気の高い「ヘラジカ」は、実は体長約2mで300kgもある巨大な動物で、頻繁に道路に出てくるため、事故に繋がる危険な動物とされています。
スウェーデンハウススタイルでも紹介しましたが、ここ数年スウェーデンで話題になっている「白いヘラジカ」が、2017年になってSNS(ソーシャルメディア)であっという間に全世界に広がりました。ヘラジカは普通濃い茶色をしているのですが、この白い変種のヘラジカが誕生した理由は不明で、現在DNAの鑑定中だそうです。生息する地域は主にスウェーデン中部で、その数は推定で50~100頭くらいだとか。まだまだ話題の尽きない「幻の動物」として話題を呼びそうです。
森の中でこんな動物に出会ったら、まるでおとぎの国に迷い込んだ気分になりそうですね。

写真:白いヘラジカ(ムース)

・・・・冬時間・・・・

スウェーデンでは10月最後の土曜日から日曜日の深夜にかけて、時間が1時間戻り冬時間になります。深夜3時に時計の針を2時に戻すので、その日は1時間長くなります。1時間余計に眠る事ができると、ちょっと得した気分になりますが、逆に夏はサマータイムで1時間短くなるため、なんだか損をした気分になってしまいます。
「サマータイム」は夏と冬の日照時間の差が大きなヨーロッパの国々で、明るい夏の長い午後を有効に使えるようにと導入された制度です。日本でも一時実施された時期があったそうですが、もともと日照時間の差がそれほど大きくない日本では、ライフスタイルにあわなかったため廃止されたようです。
現在はパソコンやスマートフォンが勝手に時間を変えてくれるので、心配する事はないのですが、スマートフォンがない時代には、夏時間に変わる日に、うっかり時計を進めるのを忘れてして遅刻してしまった!という経験があるスウェーデン人は少なくないはずです。冬時間に変わる日は遅刻する心配はないのですが、その日から暗くなるのが早くなり、一気に冬の気分になって、気持ちが滅入ってしまいます。
*2017年の冬時間は10月29日(日)からでした。

写真:冬時間になって日没が早くなる

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

< 前の記事