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Column from Sweden

北欧の暮らし

第13回
スウェーデンの春

・・・・待ち遠しかった春の訪れ・・・・

雪が溶けはじめ、地面からスノウドロップやクロッカスなどの春の兆しが見つかると、あっという間に春がやってきます。
地面が色とりどりの草花で覆われ、スウェーデンの国鳥であるクロウタドリや、シジュウカラがあたりを飛び交い、木々が芽吹きはじめます。冬が長い分、春の兆しを見つけたとたん、それまで色彩の乏しかった景色が急速に華やかになっていきます。少しでも太陽が照ると、まだ肌寒くても、湖のほとりや公園の芝生の上で、人々はピクニックをはじめます。太陽の光を浴びたいと願う、北欧の人々の気持ちの表れです。日照時間も長くなり、夏至祭までの日々を指折り数えます。

写真:春の兆しのスノウドロップ

・・・・イースター・・・・

復活祭を祝うイースターは、夏至祭、クリスマスとともに家族が集まる大切な行事です。
聖木曜日には、魔女がほうきに乗って空を飛んでいたという言い伝えから、スウェーデンの子どもたちは古いスカーフと古着を身にまとって魔女に扮し、近所にお菓子をもらいにまわります。イースターの象徴と言えばタマゴ。色とりどりにタマゴにペイントしたり、タマゴ型のボックスにお菓子を入れて庭に隠し、それを子どもたちが探すという遊びも、この時期ならではです。白樺の枝にカラフルな羽をつけるお飾り「ポスクリース」は、イースターの象徴です。スウェーデンの人々は、自分で作ったり、花屋の店先で買ってきたりして、春の住まいを飾ります。

写真:スカンセン野外博物館のイースター露店

・・・・ガーデニング・・・・

色とりどりの草花が庭を覆いはじめると、ガーデニングをはじめる季節です。
冬の間は雪に覆われていたガーデンに、今年はどんな花を咲かせようかと思いが膨らみます。スウェーデンの人々は切り花よりも、野の花や庭に咲く可憐な花を愛でます。ストックホルム郊外には庭付きの家も多く、自然の状態に任せながら、一角にはお気に入りの花を植えます。庭に必ずあるのがリンゴの木です。この時期には、春のシンボルであるライラックが一斉に花を咲かせ、庭を華やかに彩ります。花壇を整えるためには、まず冬の間に固くなった土を耕します。そして、球根を植えたり、野菜の種を植えたり、夏から秋にかけての景色を想像しながら、庭仕事にいそしみます。

写真:郊外の一軒家のガーデン

・・・・ヴァルボリの前夜祭・・・・

4月でもまだ寒さの残るスウェーデンでは、5月1日のメーデー前日に行われるヴァルボリの前夜祭で、本格的な春の到来を祝います。古代スカンジナビア人の風習では、ヴァルボリの夜は死者と生者との境が弱くなる時間であり、生者の間を歩き回る死者と無秩序な魂を追い払うためにかがり火が焚かれると言われています。各地の広場では、4月30日の夕方までに木々を積んでかがり火の準備をします。高く積み上げられた木々のまわりには多くの人が集まり、たそがれ時になると、一斉に火が焚かれます。火が少しずつ燃え広がっていく様子を楽しみ、高々と舞い上がる炎に春の訪れを祝い、火が消えるまで人々はかがり火を見守り続けます。

写真:かがり火のために積み上げられた木々

山本由香(デザインコンサルタント)

ライター:山本由香(デザインコンサルタント)

1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。

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