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Column from Sweden

北欧の暮らし

第8回
キッチン・テーブルウェア、テーブルコーディネートについて

・・・・テーブルを飾る技・・・・

手を伸ばせばすぐそこに自然がある。そんな暮らしは、スウェーデン人にとって誇らしいことのひとつ。
それは都会の真ん中であっても同じです。散歩の途中で拾った落ち葉や松ぼっくり、木の実等をアレンジしてテーブルをデコレーションしたり、スウェーデン人は自然を取り入れた手軽なコーディネートがとても得意です。
特別に豪華なお花を買わなくても、小さめの花瓶や空き瓶をいっぱい並べて野の花を生けたり、お気に入りのテーブルセンターの上に形のいい石や松ぼっくりを並べたり、私たちにも取り入れられる事はたくさんあります。更にスウェーデン人のセンスを真似するとしたら、その間にキャンドルをいくつか置くこと!それだけで北欧っぽい素敵な食卓を演出できますよ。収穫の秋にはユニークな形のアーティチョークやいが栗を並べても素敵ですね。

・・・・合理的なキッチンのデザイン・・・・

スウェーデンでは1970年代に女性が社会に進出し、家事の分担と合理化が一気に進みました。
キッチンは、無駄な動きを省き、効率よく家事が出来るようにデザインされました。
食洗機が設置されたり、充分な収納スペースが設けられるなど、働きやすいキッチンならお料理が手早くつくれるだけでなく、作る楽しみも倍増しますね。
1940~50年代には「funkis(フンキス)」と呼ばれる機能主義が広まりました。それに基づいてデザインされたアパートの中には、壁に設けられた小窓から外気を入れて冷やせる食品庫が備えつけられているものもあります。戸建ての家には必ず地下室があり、じゃが芋等の野菜を長期保管するようにできていますが、都会のアパートにもちゃんとこのような合理的な機能が付いているというのには驚かされます。

・・・・古い物を大切にする心・・・・

ヨーロッパでは、両親や祖父母が使っていた家具やリネン類が大切に引き継がれます。
古いものを捨てずに使うという習慣が根付いているのです。
スウェーデンの街にはたくさんのセカンドハンドショップがあり、夏には「Loppis(ロッピス)」という蚤の市が各地で開かれます。あちこち足を運んで掘り出し物を探すのも楽しいのですが、家に代々伝わる食器や、手刺繍が施されたテーブルクロスはやはり特別な物。時代を超えて様々な思いが詰まったものは、キッチンにぬくもりをプラスしてくれます。
そして、ただ古いものだけを並べるのではなく、そこにモダンテイストのものをミックスするなど、自分流にアレンジしてしまうセンスには感心するばかりです。

・・・・キッチンは住まいの中心・・・・

調理用のストーブが唯一の暖房器具だったずっと昔、スウェーデンのキッチンは食事を作って食べるだけのところではなく、家族が集まり眠るところでもあったのだそうです。まさにキッチンが生活の中心だったのですね。そういう歴史からか、今でもキッチンにテーブルを置き、普段の食事はそこで済ませる家庭が多く、ダイニングは季節ごとの行事やパーティーで人が大勢集まった時にだけ使用する、という家も少なくありません。
最近建築された新しい住まいには、キッチン、ダイニング、リビングルームに間仕切りやドアがなくオープンなプランなのが特徴ですが、こじんまりしたキッチンのほうが落ち着くという人も多いようです。
キッチンの窓際に置かれたテーブルを囲み、ほの暗いキャンドルの元でくつろぐ風景は、とてもスウェーデンらしい感じがします。

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

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