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Column from Sweden

北欧の暮らし

第6回
スウェーデンの家族

・・・・結婚観の違い・・・・

スウェーデンでよく耳にする「Sambo(サンボ)」という言葉は、「Sammanboende(サンマン ボーエンデ)」(「一緒に住む」の意)を短縮した言い方です。
子どもが出来てから結婚するカップルも少なくありませんが、ずっとサンボのままで通す人もいます。
遺産相続などを除き、スウェーデンではサンボは結婚した夫婦のように扱われます。※
結婚後も夫婦別姓であったり、ダブルネームで旧姓を維持する人もいて、日本の戸籍とは比べ物にならないほど柔軟なシステムになっています。ロマンチックな結婚式を望まない限り、この国では結婚という形態がそれほど重視されていないようです。

※法律上、遺産相続のほか、離別の際の財産分与や、子どもが産まれた際に父親の認知に届け出がいるなどの違いがあります。

・・・・家族という意味・・・・

欧米の離婚率の高さはよく話題に上りますが、スウェーデンでも同様です。
学校のクラスの中で離婚していない両親の元で生活をしている子のほうが少ない、という現実にはやはり驚かされます。
離婚後も特別な場合を除き、親権は両親にあり子ども達が平等に父母に会う権利が優先されます。大抵の場合、父母同士が近くに住み、子ども達は隔週ごとにそれぞれの家を行き来する生活を送ります。お誕生日やクリスマス等の大きな行事には、父や母の新しいパートナーやその子ども達までが混ざってお祝いする事も珍しくありません。家族関係が入り交じった複雑な大家族となるのですが、案外さっぱりとしているのは個人主義の国だからでしょうか。形にとらわれず、自由に生きてゆく姿と家族の価値観は、日本とは随分違うような気がします。

・・・・男女平等と育児への参加・・・・

ようやく最近、赤ちゃんを連れたパパを見かけるようになった東京に比べ、ストックホルムでは育児休暇中のパパ達がベビーカーを押して、カフェや公園で過ごしている姿はごく一般的な光景です。
子どもが8歳になるまでの間に480日の育児休暇がありますが、父母がバランス良く休暇を取る為に、それぞれ60日ずつ強制的に取らないといけない制度まであります。こうして必然的に男性も子育てに関わっていくようになるのです。当然、家庭内の役割も同じように分担するので、男女平等が当たり前の生活が自然に子ども達に引き継がれていくのです。それと同時に、家庭生活が充実しているからこそ良い仕事ができるという考え方が社会全体に浸透しています。でもここまでの道のりは決して容易なものではなく、70年代に男女平等を訴える運動を機に、女性達が自分たちの手で得た権利なのです。

・・・・家族の絆・・・・

1歳を過ぎるとほとんどの子どもは保育園に預けられ、集団生活を身につけます。
住宅事情の違いもありますが、赤ちゃんの頃から個室を与えられ、一人で眠るのも普通のことです。こうして幼い頃から自立を促され、歳老いても出来る限り自立する仕組みになっているのがスウェーデンの社会です。一見冷たそうにも見えますが、決して家族の絆が弱いわけではありません。クリスマスや夏至祭、お誕生日には必ず家族皆が集まり大きなパーティーを開きます。長い夏休みを過ごすサマーハウスは親から譲り受ける場合が多く、親戚同士と身近に生活する機会にも恵まれます。とりわけ夏の時期には、電気も通っていないような大自然の中での素朴な生活を過して、家族や親戚の絆をしっかりと深めます。

世界の幸福度ランキングでは常に上位を占める北欧諸国ですが、ひとりひとりが、お互いに尊重し合いながら築いていく家族の姿にヒントがあるのかもしれませんね。

見瀬理恵子(イラストレーター)

ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)

大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。

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