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Column from Sweden

北欧の暮らし

第3回
スウェーデン人のバカンスの過ごし方

・・・・太陽に対する思い・・・・

冬の長い北欧の人びとにとって、太陽は特別な存在です。北極圏では12月には全く太陽が昇らない極夜(きょくや)となり、ストックホルムでも日照時間は数時間しかありません。そんな国に暮らす人びとにとって、太陽の光は何よりも大切な自然の恵みです。日照時間が増え、太陽の陽射しも暖かくなる3、4月になると、誰もが太陽の下で日光浴を楽しみます。夏が近づいてくると、日中は日光浴をするために、仕事を夜にまわす人もいるくらいです。お天気のいい日の公園は、いつもたくさんの人で賑わいます。そして太陽の位置にあわせて、すわる位置を移動しながら一日中日光浴を満喫します。夏の海や湖のほとりでも、太陽を妨げるパラソルを立てる人はひとりもいません。紫外線よりも、太陽を思いっきり浴びる方が優先順位が高いのです。

・・・・近場の湖でバカンス気分・・・・

群島に囲まれたストックホルムでは、バスや車で10分も行けば湖にたどり着きます。夏になると仕事を早めに切り上げ、湖に泳ぎに行くのが日課という人も多いようです。日差しが熱く感じられる6月になると、バカンスが始まる前からもう夏休み気分。湖のほとりで日光浴をしたり、泳いで夏を楽しみます。湖が身近にあるストックホルムでは、泳ぐことのできる場所がいくつもあり、砂場になっているところは、まるで海水浴場のように混み合います。日本のように海の家があるわけではなく、着替えも食事も全て自前。木陰に隠れて水着に着替え、食べ物を持ち寄ってピクニックをしながら、湖水浴を楽しみます。

・・・・サマーハウス・・・・

日照時間が一番長くなる時期におこなわれる夏至祭は、スウェーデンで最も盛り上がるお祭りです。夏至祭が終わると早くも夏休みシーズンの到来。誰もが1ヶ月ほどのバカンスをのんびりと過ごします。多くの人が森の中や湖のほとりにサマーハウスを持ち、夏の間の居住地となります。中古のサマーハウスを持つ人が多く、夏休み中はメンテナンスが日課となります。スウェーデンでは住宅は定期的にメンテナンスを行ない、長く住み続けるのが一般的であり、スウェーデン人は、メンテナンスそのものを楽しみます。床を直したり、壁をペイントしたり、新しいテラスを造ったり。日曜大工やガーデニングに励むことで、都会での生活を忘れ、心と身体を癒します。自然とともに毎日を過ごすことで感性が研ぎすまされ、生物としての勘が取り戻されます。そんな暮らしを1ヶ月も過ごし心身ともに十分に充電されたところで、また職場へ。バカンスでの充電期間は、より良い仕事をする上で欠かせない時間なのです。

・・・・スウェーデン人の憧れの地、ゴットランド島・・・・

ゴットランド島はスウェーデン人にとって憧れの場所。この地にサマーハウスを持つことがステータスとされています。多くのクリエイターがこの地にサマーハウスを所有し、映画監督のイングマール・ベルイマン氏が北ゴットランドのサマーハウスで晩年を過ごしたことは有名です。中世のゴットランドはバイキングが支配し、通商貿易の拠点として栄えました。その中心都市であるヴィスビーは、ハンザ同盟都市として栄えた歴史ある街です。旧市街を囲む石で造られた要塞の壁が有名で、1995年に世界遺産として登録されています。石畳が続く古い街は、ジブリ映画「魔女の宅急便」のモデルになったことでも有名。バラを咲かせた石造りの家並みが、中世の古い街を美しく彩ります。

山本由香(デザインコンサルタント)

ライター:山本由香(デザインコンサルタント)

1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。

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