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Column from Sweden

北欧の暮らし

第1回
スウェーデンの住まいについて

・・・・・・・・スウェーデンの建物・・・・・・・・

スウェーデンでは衣食住のうち「住」が最も重要視されていて、衣と食は、住に比べると暮らしの中での比重が軽いように感じます。そんなスウェーデンの住まいについてお話しします。
スウェーデンには地震がないため、今でも現役で使われている古い建物が、あちこちにあります。
ストックホルム発祥の地であるガムラスタン(旧市街)は、中世の建物と石畳の通りが当時のまま残っているエリア。市内には築50〜100年の建物が多く、 オフィスや住宅として使われています。最近ではストックホルムにも新しい建物が増えて、新旧建築のコントラストを見ることができます。古い建物は、外観はそのままに、室内を暮らしやすく改装するのが一般的です。
 多くの建物には中庭があり、住民以外が入れないために、静かに過ごすことができます。市内には一軒家が建てられない規定があるので集合住宅が主流、一軒家があるのは郊外だけです。

・・・・・・・・建物の特徴・・・・・・・・

ストックホルムの高級住宅地といえば、エステルマルムが有名です。この地区の建物は天井が高く、外装には彫刻が施されるなど、造りも高級です。エレベーターは100年も昔に作られたものが現役で使われ、歩く方が早いのではと思うくらいゆっくりと昇降します。最上階には梁の残った部屋があり、壁に向かって作られた小さな階段状のインテリアは「天使の階段」と呼ばれて親しまれています。
 一方、郊外の一軒家は中庭がある場合が多く、通りから面していない部分に広い庭があります。中古の家を買い求め、床の張り替えから外壁のペイントまで自分たちで手がけてしまうのがスウェーデン流です。家族の成長に合わせて家も一緒に成長させるのが一軒家に暮らす楽しみです。

・・・・・・・・住まいの工夫・・・・・・・・

ストックホルムの南地区セーデルマルムには、中世に建てられた一軒家やタウンハウスが残されています。ガムラスタンの建物と同様に外観はそのまま維持され、室内は近代的に改装されています。天井も低く部屋も狭いのですが、文化遺産である古い家屋に暮らしたい人は多く、順番待ちに十数年かかると言われています。また、ミッドセンチュリー時代に建てられた集合住宅は、白枠の3層窓が一般的です。密閉度が高くて結露も少なく、防音効果もあります。窓にカーテンをかけることはなく、外からの光をめいっぱいに室内に取り込みます。室内は白い壁や白木の家具が好まれ、クッションやカーペットで彩りを楽しみます。

・・・・・・・・住まいと暮らし・・・・・・・・

「住」での暮らしを充実させることは人生を楽しむことであり、自分や家族との時間をのんびりと過ごしたり、親しい友人を招いて過ごします。日々忙しく暮らす人びとにとって、家で過ごす時間はリラックスすることにもなり、仕事を忘れて大好きな手芸や刺繍を楽しむ人も多いようです。窓辺やバルコニーにテーブルを置いて、外の景色を眺めながらのフィーカタイムも大切なひとときです。
 自宅でのフィーカでは、手作りの焼き菓子が欠かせません。7種の焼き菓子でもてなすのが正式なフィーカで、食べきれないくらいたくさん用意するのが礼儀だったそうです。おばあさまの世代では、フィーカのお菓子が足りないことが何よりの懸念だそうです。

山本由香(デザインコンサルタント)

ライター:山本由香(デザインコンサルタント)

1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。

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